【情報社会の必須スキル】真偽を見分ける3つのポイント
こんにちは、稲垣大輔です。
堅苦しいタイトルを付けてしまいましたが、友人から非常に眉唾な話を聞いてしまったので思わず書いてみようかなと思い、至りました。
学業と職業の経歴的に、超がつくほど理系な稲垣なので、巷で流れている噂(とくに健康や美容関係)に対して非常に冷静だったりします。
最近も「「白」のつく食べ物(白米など)は身体によくない」というような記事を見せてもらい、「今生きている人は300年後には全員死んでいる」というような飛躍した論理展開に呆然としたことがあります(笑)
そりゃそうだろと。
というわけで、ものすごくざっくりですが、「どういう視点で本や記事を読むと、変な噂に惑わされずに情報を入手することができるか?」について、自分なりの見解を書こうと思います。
1.話の展開を捉える
健康や美容はとくに多いのですが、とにかく専門用語や初めて聞くような言葉が多いです。
ただ、そこに惑わされてはいけません。
そもそも、話の展開の仕方が順を追っているのかどうかを見るだけで信ぴょう性の度合いは一気に変わります。
たとえば、次のような記事があるとしましょう(便宜的に文章の終わりに番号をふりました)
魚や肉を焼き過ぎると焦げてしまうが、この焦げには発がん性物質が含まれている。①
発がん性物質とは、その名の通り「がんを引き起こす可能性のある物質」である。②
そのため、がんになる可能性を少なくするためには、焼き魚や焼肉は非常に危険なのである。③
①については、論文などを調べればわかりますが、これは事実です。
②もその通りです。
ただ、問題は③。
焦げの中にどのくらいの量が入っているか、どのくらいの量を摂取すると人体に影響を及ぼすのかなどの情報が何一つ入っていないですし、いきなり飛躍して「焼き魚や焼肉は危険」と書いてあります。
例文は大まかに書いたので誰が見ても「おかしい」と思うのですが、本や記事ではこの濃度を薄めてわかりにくくしているものが意外に多いんです。
読む時には「話の要点が飛躍していないか?」を見ることをおすすめします。
2.根拠としての数字を見る
1.でも少し書きましたが、「数字」は科学的根拠を見る上で非常に重要です。
「その物質が人体に及ぼす影響はどの値からなのか?」
「その物質は食べ物の中にどれくらい含有されているのか?」
「そのデータは、何人のデータを集めて統計学的に計算したものなのか?」
これらがあいまいな記事は、根本的に信用できないと考えていいと言えます。
数字をしっかり確認するようにしましょう。
3.実験条件を見る
2.の数字とも関連するのですが、実験条件をちゃんと見る必要があります。
以前、「水素水」が流行った時に、「水素化粧品」というものが販売されたことがあります。
某メーカーのサイトには、
「ラットを用いた実験によると、水素を血液中へ入れたところ、選択的にラジカルや腫瘍を攻撃した。」
という論文を掲載し、
「このように、水素はアンチエイジングの原因のひとつでもあるラジカルを消去する力があり、水素を含んだ化粧水によって同様の効果が得られると考え、開発しました。」
と書いてありました。
一見、「論文にもなってるんだし別に問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、そこが落とし穴。
ちゃんと読むとわかりますが、
・論文の実験条件は「注射器を使って血管に水素を注入」した結果
・化粧水は「皮膚から経皮吸収」されるもの
なので、根本的に条件が違うんです。
血管に直接注入する場合、その物質は100%血液を流れますが、皮膚を介して吸収される場合、表皮や角質・真皮・皮下組織といった構造を通って血管にたどり着くため、吸収濃度や選択性が極端に違います。
そもそも水に溶ける水素の割合は科学的にわかっているので、その程度の濃度では皮膚に塗った時点で勝手に蒸発していくので水素の吸収率は0.00000000◯%以下と言ってもいいくらいです。
他にも「調べた人数が数人程度」とか「やたら実験条件が限定されている(体脂肪が35%以上&夜型生活&大食い&健康診断で引っかかった人のみでサプリのデータを計測するなど)」など、「本当にその実験条件をもとに一般にも適用できるのか?」を考えるといいかなと思います。
細かい点を書き出すとたくさん出てくるんですけど(「必要条件と十分条件」「論文のジャーナルの信頼度」などなど)、大まかには上記の3項目を見るだけでも格段に情報の取捨選択ができるようになると思います。
久々に長文書いた気がする(笑)
明日はもっとフランクな内容にしよっと。
ではまた明日。